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9,000km離れた見知らぬ土地へ連れ去られたロシア行きの子どもたち
ロシアのウクライナ侵攻が始まってから4年近くが経つ2020年代中盤、ウクライナを巡る人権問題の一つが国際社会を震撼させた。
ウクライナの地域人権センターの専門家カテリーナ・ラシェフスカは米上院の小委員会公聴会で、ロシアが占領した地域から拉致したウクライナの子どもたちが北朝鮮の元山にある、9,000km離れた収容所へ送られたと暴露した。
彼女は12歳の少年ミシャ(Misha・ミカイロ)と16歳の少女リザ(リザ・ベリザベータ)を例示し、両名がロシアの青少年組織と北朝鮮の「ソンドウォン国際少年団野営所」プログラムに強制的に組み込まれたと指摘した。

ソンドウォン キャンプ、政治的思想教育の場
ロシアが占領地で拉致した一部の青少年は、まずロシア本土の「ロシアカード」(Movement of the First)などの青少年団体に取り込まれ、その後、特定の者だけが北朝鮮のソンドウォン キャンプへ移送された。
「ソンドウォン国際少年団野営所」は北東部の元山近郊にある大規模な青少年研修・教育施設で、旧ソ連や親北朝鮮の同盟国から来る青少年に対して北朝鮮体制を宣伝する役割を長年担ってきた。
到着したウクライナの十代の若者たちは、北朝鮮の軍のレクリエーション施設や宣伝施設を案内され、普段触れる機会の少ない社会主義体制や「反帝」「反米」を標榜する思想教育を強制的に受けさせられたと証言されている。

ロシア軍と北朝鮮の青少年交流プログラム
ミシャとリザの両名は、ロシアの公的な青少年交流プログラムの一環として北朝鮮へ移送された。
ウクライナの占領地域でロシア当局に連行された後、モスクワを経由してウラジオストクへ、さらに北朝鮮東海岸へと長距離移送される旅が強制された。
このプログラムは表向きには北・露の「青少年親善」や交流事業を掲げるが、ウクライナ側の人権団体はこれを「強制的なロシア化・思想教育」の一部と見なしている。
ラシェフスカによれば、ミシャとリザはロシア当局に「優秀な成績を示したウクライナ青少年」として選別され、賞や報奨を口実に北朝鮮のソンドウォン キャンプへ送られたという。

北朝鮮式の制服と軍服、写真に強制的に晒された存在
米上院の公聴会でラシェフスカが提示した写真には、両名が北朝鮮式の制服や軍服に見えるユニフォームを着せられて写っている。
撮影背景にはぼやけた研修施設の内部やキャンプの広場、金日成・金正日の像の周辺が写り、彼らが典型的な北朝鮮の宣伝空間に配置されていることを示唆している。
現時点で両名がソンドウォン キャンプを離れてウクライナに戻ったか、あるいはどこにいるかは明確ではないが、少なくとも人権団体の報告では、キャンプ滞在後にロシアの管理下に残されたとされる。

反米・反日思想の注入、ロシア式ブレインウォッシュの極致
ソンドウォン キャンプで彼らに行われた教育は、ロシアと北朝鮮が共有する「反帝」思想を基盤にしていると伝えられる。
ラシェフスカは「子どもたちは『日本の軍国主義者を破壊する方法』を教え込まれ、1968年に米海軍のスパイ船『PUBLEO』号襲撃に関与した北朝鮮の退役兵と対面させられた」と証言する。
この教育は単なる歴史教育にとどまらず、米国と日本を「戦争犯罪者」と描き、北朝鮮とロシアを世界平和を守る「正義の側」として繰り返し宣伝することに主眼が置かれていた。

ウクライナ政府と人権団体の怒り
この事案はウクライナ政府と国際人権団体に大きな波紋を広げた。
ウクライナ人権センターは、ロシアが占領地で既に160以上のロシア化 キャンプを運営しており、その一部が北朝鮮まで及ぶ「思想教育ネットワーク」を形成していると指摘する。
国連公認の人権団体や専門家は、ロシアが占領地から拉致したウクライナの子どもを北朝鮮の軍・社会主義教育キャンプへ送る行為を「強制再教育」「人権侵害」「児童の洗脳」と断定している。

この子どもたちが残した警告のメッセージ
この出来事は単なる拉致事件ではなく、戦時に子どもが国家間の宣伝や思想教育の道具に堕する可能性があるという痛ましい警告を突きつけている。
ミシャとリザは本来ウクライナ占領地でロシアの青少年団体に連れ込まれ、そこでロシア式の同化政策に続いて北朝鮮式の体制宣伝が上乗せされた。
この事件は、ロシアが占領した地域から強制連行された子どもたちの運命がどこまで及ぶのか、国際社会はどう対処すべきかという緊急の問いを投げ掛ける。
元山の海辺にある、9,000km離れたキャンプで、ウクライナの十代たちは自分の名前よりも「宣伝の素材」として扱われてしまった。これが最も悲惨な結末である。













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