
スポティファイは人工知能(AI)生成音源と実在アーティストを区別する認証制度を導入する。グローバル音楽プラットフォーム、ディーザー(Deezer)の基準では1日あたりの新規アップロード曲の約44%がAI生成音楽に分類されており、音源の真偽と信頼性を可視化する事業者レベルでの初の試みと位置づけられる。
スポティファイは4月30日(現地時間)、自社ニュースルームで新たな認証マーク「Verified by Spotify」を公表した。認証を受けたプロフィールにはアーティスト名の横や検索結果に薄緑色のチェックマークが表示され、リスナーは聴いている音源の主体が実在のアーティストかどうかを即座に判別できる。
認証基準は三つの柱から成る。第一は一定期間にわたりリスナーによる能動的な検索や視聴を通じた継続的な参加実績が確認されること。第二はコンサート日程、マーチャンダイズ(グッズ)、連結されたソーシャルアカウントなど、プラットフォーム内外での実質的な活動の痕跡が裏付けられること。第三はスポティファイのポリシー順守。特に、AI生成コンテンツやAIペルソナ(AI persona)を主体とするプロフィールは導入時点から認証対象外となる点が重要だ。アルゴリズム分析に専門家によるレビューを組み合わせ、精度を高めるという。
初期導入段階では、リスナーによって活発に検索されるアーティストの99%以上が認証対象に含まれる見込みだ。スポティファイはこれらの多くがインディペンデントアーティストで、認証対象は幅広いジャンル・キャリア段階・地域を網羅すると説明する。認証の有無にかかわらず、全アーティストのプロフィールには経歴・リリース活動・ツアー記録を整理した詳細情報セクションがベータ版として追加される。モバイルでは「About」セクションを通じて段階的に表示され、今後数週間かけてグローバルユーザーへ順次展開される予定だ。
今回の措置は、競合のディーザーが示した市場動向と連動する。ディーザーによれば、自社プラットフォームには毎日約7万5千曲、月間で200万曲以上のAI生成音楽がアップロードされ、新規アップロードの約44%を占めるという。同社の調査では回答者の97%がAI音楽と人間の創作音楽を区別できなかった。一方、ソニーミュージックは自社アーティストを偽るAI生成音源13万5千曲超の削除をストリーミング事業者に要請した。こうした業界からの圧力が、スポティファイが曲単位ではなくアーティストプロフィール単位で信頼マークを導入する背景にある。
業界は今回の認証制度がバーチャル・エンターテインメント領域に与える影響を注視している。モーションキャプチャを用い、実演者が作詞・作曲・パフォーマンスに直接関与する韓国型バーチャルアイドル(例:プレイブ(PLAVE)、異世界アイドル、メイヴ)と、音声・外見・コンテンツ全般をAIで生成する「AIペルソナ」アーティストは認証基準上で明確に区別される。スポティファイは「AIペルソナ」を認証対象から除外すると明言したが、人間の実演者が主体のバーチャルアーティストがどのように分類されるかは今後の事例で判断されるだろう。
スポティファイは認証制度を段階的に精緻化する方針だ。音源単位でAI使用の有無を一律に判定するのではなく、アーティストプロフィール単位で真偽と信頼性を評価する方式を優先する。AIツールが部分的に使われた音源が認証済みアーティストの作品として登録される可能性は残されており、今後は音源単位の表示体系「AI credits」や「About the Song」などとの連携が鍵になるだろう。













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