
【ヘラルド経済=キム・グァンウ記者】 「誰も食べないと思ったのに」
わが国ではほとんど見かけない食材「カエル」。肉類の供給が不足していた時代、農村地域を中心に消費されていたこともあったが、現在ではほとんど姿を消している。
しかし、ヨーロッパの一部地域では今でもカエルの脚が日常的に食べられている。特に フランスでは毎年最大1億匹以上のカエルが消費されている。

問題は、カエルを捕らえて肉を得る過程における残虐さだ。食用にされるカエルは生きたまま皮を剥がれ、脚を切断されるなど、残酷な屠殺過程を経る。
哺乳類と同様に痛みを感じるカエルだが、食品になる過程では動物保護の倫理が選択的にしか適用されていない。
それだけ生産・流通過程が不透明に進んでいるということだ。さらに 肉の生産のために野生のカエルまで無分別に捕獲されているという分析もある。

自然生態系でカエルが減少すると、害虫の個体数増加など様々な副作用が生じる。人間の食欲が生態系の健全さを損ねているという指摘だ。
ドイツの動物保護団体「プロ・ワイルドライフ」によれば 欧州連合(EU)諸国は毎年冷凍カエルの脚約4000トンを輸入している。カエルの個体数に換算すると最大で2億匹に相当する。 そのうち75%に相当する量がフランスで消費されている。

カエルの脚は他の肉の代替として消費されているわけではない。フランスでは一種の「伝統料理」として定着している。宗教的に肉が制限されていた時代に、カエルの脚が「魚」と見なされて食べられてきた文化が根付いた結果であり、現在では「高級」料理として扱われることもある。
フランスでカエルを養殖しているわけではない。EUは商業目的でのカエル捕獲を禁止しているため、フランスを含む ヨーロッパ各国はベトナム、インドネシアなど東南アジアを中心に食用カエルの脚を輸入している。 トルコやアルバニアなど東欧諸国もカエルの脚を輸出している国だ。

問題はカエルの脚が生産される過程だ。実際に 国際的な動物保護団体は、カエル脚の生産過程に動物倫理がまったく反映されていない点を指摘している。 とりわけ残酷な屠殺過程が問題視されている。
動物保護団体PETAが数年にわたりカエル農場を調査した結果、インドネシア、タイ、ベトナムの多数の農場で、生きたカエルの皮を剥ぎ、頭と脚を切り落とす場面が記録された。野生で捕まえたカエルを極端に狭い袋に詰める様子も確認された。
PETAは「作業者たちがナイフでカエルの頭と脚を切り落とした。一部の作業者は頭を切る前に脚を先に切り落とすこともあった」と述べ、さらに「作業者が体を切り刻む間、多くのカエルが苦痛の声を上げていた」と説明している。

カエルは屠殺過程で確実に痛みを感じることが知られている。哺乳類に比べて構造は単純だが、有害刺激を処理・知覚する神経経路を持っているためだ。そのため 多くのカエルに関する研究ガイドラインでは、痛みや苦痛が予想される処置の前に麻酔や鎮痛処置を行うべきだと規定している。
規制がないわけではない。最大のカエル脚輸出国であるインドネシアも、捕獲・飼育・屠殺・輸送の各段階で動物福祉の措置を講じるべきだと法律で定めている。しかしPETAは、生産現場ではこれらがまったく考慮されていないと説明する。

屠殺の残虐性だけが問題ではない。 カエル脚の生産・流通過程で最も大きな問題は、どの種類のカエルが使われているののかが不透明なことだ。 食用として飼育された個体以外に、野生個体の無分別な捕獲が行われている疑いがある。
例えば、2025年に発表されたスイス・ローゼン大学の研究チームによる市販のカエル脚34製品の分析では、合計5種8系統のカエルが確認された。しかしそのうち申告されていたのはわずか2種だけだった。半数以上は事前に確認されていない個体だったという。これは生産・流通過程の透明性が確保されていない証拠だ。

何よりも 生産地で生態学的な悪影響が生じる可能性があるという指摘がある。 野生地域の個体群の採集が管理されておらず、個体数減少が続いているためだ。特にカエルは農地や湿地で蚊やハエなどの害虫を捕食する捕食者として機能しており、その減少は影響が大きい。
まず、両生類の捕食活動は人間の作物生産性を高める要因になる。害虫駆除の役割を果たし、稲や大豆の収穫量を増やすのに寄与するからだ。加えて 蚊など病原体を媒介する昆虫を捕食することで、人間への病原体感染の抑制にも貢献している。
世界自然保護連合(IUCN)も「2024年両生類保全行動計画」の報告書で「両生類が成虫・幼虫の蚊やハエを捕食することで、マラリアやデング熱などを引き起こす病原体の人間への伝播を減らす役割を果たしてきた」と指摘し、「保全行動は今すぐに実行されるべきだ」と述べている。

実際にカエルの捕獲がもたらす自然環境の変化も始まっている。英国ケンブリッジ大学の研究によれば、カエル脚の輸出国であるトルコの主要な野生カエル種「アナトリア水ガエル」がすでに絶滅段階に入っており、研究チームは当該種の生息域で個体群が50年以内に絶滅する危険が90%に達すると分析している。
一方、主要消費国であるフランスなど欧州ではカエル脚の輸入規制を強化すべきだという声が上がっている。 欧州内部では生態系保全などの理由で両生類の捕獲を禁止している一方で、輸入規制を緩めることで他国の生態系崩壊を助長しているとの批判がある。
フランスの環境団体「ロビン・デ・ボワ(Robin des Bois)」など42の非営利団体は、2024年にEUの環境大臣宛ての要請書で「EUは自国の国境外で行われる野生カエルの搾取に対して依然として責任がある」と指摘し、「EUで容認できない方法で屠殺されたカエルの脚の輸入を中止するよう求める」と表明している。














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