
数十年にわたり朝鮮半島の安全保障を支えてきた、ある絶対的な信念がある。
『作戦計画5055』は、北朝鮮が全面戦争を仕掛けた場合、米本土や日本から大量の兵力と物資が投入され、韓国を守るという前提に立っている。
だが、中国の台湾侵攻とロシアの欧州での戦線拡大が同時に起きるような事態が現実化すれば、情勢は一変する。
戦力が極度に分散した場合、駐韓米軍の20~40%が台湾海峡へと振り向けられ、朝鮮半島への増援が後回しにされるなか、韓国軍だけで北朝鮮の南侵を防がねばならない孤立した局面が到来する可能性がある。

米軍の撤退で生じた空白を突いて、北朝鮮が長距離砲やドローン、特殊部隊を前面に出して奇襲的な南侵を仕掛けてきた場合、開戦直後の韓国軍の最優先目標は反撃ではなく生き残りとなるだろう。
F-35AやF-15K、そしてことし実戦配備されるKF-21といった圧倒的な航空戦力で制空権を確保し、天弓-II(M-SAM II)やパトリオットなどの多層防空網が激しく稼働して防御線を維持しなければならない。
韓国軍は強力なK9自走砲と精密打撃能力を基盤に、北朝鮮の砲兵戦力を無力化し、開戦初期の衝撃を吸収する質的優位を持っている。
米軍不在の消耗戦、K防衛産業と弾薬のジレンマ
韓国が米軍なしでも序盤で崩れない最大の理由は、皮肉にも堅固な自国の防衛産業基盤にある。

2022年のウクライナのように開戦直後から武器や弾薬が枯渇して外部支援に全面依存する状況とは異なり、韓国は国家主導の総動員体制によって民間産業を即座に戦時供給網に転換し、弾薬と装備を継続的に生産する態勢を整えている。
北朝鮮の機動ルートを封じ、防御線を安定化させる段階までは、韓国軍単独でも勝算が高いとの見方が優勢だ。
問題は戦争が高強度の消耗戦に移行したときに生じる。
迎撃ミサイルや精密誘導兵器の消耗は予想を超える速さで進む可能性が高く、万一の際に韓国へ供給されるはずの国連軍後方基地(日本)からの物資や弾薬が台湾戦線へ優先配分される不確実性もある。

首都圏のような人口密集地域が絶え間ない砲撃の脅威にさらされれば、政治的圧力は極度に高まり、米軍の早期介入なしに数週間以上にわたって高強度の作戦を自力で維持することは、防衛産業の強い韓国軍にとっても致命的な限界を迎える。
最後の変数「戦術核」、3軸体制の試金石
孤立した韓国軍が直面する最も恐るべきシナリオは、追い詰められた北朝鮮が低威力の戦術核を用いる決断を下す瞬間だ。
米国の軍事研究機関によるシミュレーションでも示されているように、米軍の拡大抑止(核の傘)が遅れる隙を突き、限定的な核使用で韓国社会に政治的パニックを引き起こそうとする可能性は高い。
キルチェーン、KAMD、KMPRから成る韓国軍の3軸体制は優れた従来型抑止手段だが、実際に核の火の粉が上がる状況でも確実に機能するかどうかは不透明だ。

結論として、米軍の増援が来ない戦争で韓国軍が一方的に北朝鮮に敗北する確率は低いと評価される。
だが、独力だけで北朝鮮を殲滅し、決定的な勝利を収めることは極めて困難である。
台湾と朝鮮半島の安全保障が歯車のように連動する時代、韓国はもはや『作戦計画5055』の神話だけに依存するわけにはいかない。
迎撃ミサイルの備蓄を増やし、米軍なしでも北朝鮮指導部に壊滅的打撃を与えうる非核抑止力を育成することだけが、孤立した戦場で生き残るための唯一の道だ。













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