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FASTが変えるテレビの未来とは?

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メディア業界でFAST(Free Ad-Supported Streaming TV)の注目度が高まっている。 [写真: シャッターストック]
メディア業界でFAST(Free Ad-Supported Streaming TV)の注目度が高まっている。【写真: シャッターストック】

毎日触れる「通信」と「放送」。その裏側では、見えない技術競争と産業の変化が続いている。신통방통は通信・放送技術と市場の流れを分かりやすく、興味深く解きほぐすコーナーだ。最新技術や政策、マーケットの変化を現場の文脈とともに掘り下げていく。


【デジタルトゥデイ イ・ジンホ記者】最近、メディア業界でよく耳にする言葉がある。FASTだ。英語だけを見ると「速い」という意味が先に浮かぶが、放送市場でいうFASTは速度と直接の関係はない。

FASTは「Free Ad-Supported Streaming TV」の略語だ。日本語では広告ベースの無料ストリーミングTVと表現できる。利用者は広告を見る代わりに購読料を支払わずコンテンツを視聴し、プラットフォームやコンテンツ事業者は広告で収益を得る構造だ。言い換えれば「購読料なしで広告を見ながら無料で利用できるインターネットTV」である。

ただし注意点がある。FASTは単なる無料のオンライン動画サービス(OTT)やオンデマンドビデオ(VOD)とは異なる。Netflixをはじめとするティービング、웨이브、クーパンプレイのようなOTTは、利用者が見たいコンテンツを自ら選んで視聴する方式だ。ドラマを1話単位で選ぶか、見たい映画を検索して都合の良い時間に視聴するという形だ。

FASTはこれとは違い、テレビチャンネルのように機能する。既に編成されたチャンネルにコンテンツが次々と流れるかたちだ。利用者はチャンネルを選び、広告とともにコンテンツを視聴する。伝統的なテレビのチャンネルと編成という枠組みは維持される一方、伝送は放送網ではなくインターネットで行われる。
FASTが注目される背景には、OTTの購読疲れがある。ここ数年、OTT市場は急拡大したが、利用者の負担も増えた。見たいコンテンツが複数のプラットフォームに分散し、それぞれに購読料を払わねばならない。1、2サービスだけでは物足りず、複数を利用すると毎月の出費がかさむ。

こうした状況でFASTは新たな選択肢として浮上している。最新のオリジナルや独占作は有料OTTが依然強いが、気軽に流して見るコンテンツや過去の人気ドラマ・バラエティ、ニュース、スポーツのハイライトなどはFASTと相性がいい。利用者は金を払わず視聴でき、コンテンツ事業者は広告で収益化できる。

米国市場ではPluto TV、Tubi、Roku Channelなどが代表的なFASTサービスとされる。韓国国内ではSamsung TV PlusとLG Channelが代表例だ。特にサムスン電子とLG電子はスマートTVのメーカーでありつつプラットフォーム事業者としてFASTを育てている。

◆サムスン・LGがFASTに力を入れる理由

ここで産業構造を見直す必要がある。FASTはテレビメーカーにとっても有望なビジネスモデルだ。かつてテレビメーカーの競争力は画面サイズや画質、価格、デザインだった。高性能のテレビを作って多く売るのが基本だった。しかしスマートTV時代になると、テレビは単なる家電を超え、インターネットプラットフォームへと変化した。

サムスン電子やLG電子がFAST市場に参入したのはこの文脈による。テレビのリモコンで数回操作するだけでFASTのコンテンツに辿り着けることは、デバイスとしての魅力を高める要素だ。消費者がテレビを選ぶ際、「どの無料チャンネルが見られるか」も選択基準になり得る。

また、利用者がSamsung TV PlusやLG Channelを長時間視聴すれば広告収入が増え、視聴データが蓄積される。どのジャンルが多く視聴されるか、どの時間帯にテレビがつけられるか、どのチャンネルに長く留まるかなどを分析できる。

サムスン電子はSamsung TV Plusを通じ、ニュース、スポーツ、映画、音楽、キッズ・ファミリー向けコンテンツなど100以上の多様なチャンネルを提供していると説明する。Samsung TV PlusはサムスンのスマートTVだけでなく、サムスンのモバイル端末でも利用可能だ。

LG電子は昨年、LG Channelの10周年を機にロゴとユーザー体験を刷新し、地域別の特化サービスを追加した。米国では新コンテンツ一覧を告知する「Upcoming」機能に視聴予約と通知機能を加えたのが代表例だ。熱心なスポーツファンが多い米国で試合を見逃さないための必須機能だとLG電子は説明する。

このように、テレビメーカーにとってFASTはデバイス販売後のビジネスの入口となる。かつてはテレビを一度売ればメーカーの関与は概ね終わっていたが、現在は異なる。テレビを点けた後、利用者がどのホーム画面を見て、どのアプリを起動し、どの無料チャンネルに留まるかがすべてビジネスチャンスにつながる。FASTのテレビ画面は放送を見せる窓を超え、コンテンツ流通、広告、データ基盤サービスが結合するプラットフォームへと拡張されている。

コンテンツ事業者にとってもFASTは新たな入り口となる。放送局や制作会社は既存のドラマ、バラエティ、教養、ドキュメンタリー、映画などを再利用できる。放送終了後のコンテンツでもチャンネル形式で再編成すれば再び命が吹き込まれる。従来は再放送やVOD販売が主要な活用法だったが、FASTを通じて古いコンテンツも編成やパッケージ次第で新たな価値を生み出せる。

例えば、特定の人気ドラマを一日中流すチャンネルを作れる。バラエティの過去シーズンや名場面を連続して流すチャンネルも可能だ。旅行、ペット、ゴルフ、料理、ドキュメンタリーといったテーマ別にまとめてチャンネル化することもできる。単発のコンテンツを再販するのではなく、コンテンツライブラリを一つのチャンネル体験に変換するのだ。

サムスン電子はSamsung TV Plusを通じ、ニュース、スポーツ、映画、音楽、キッズ・ファミリー向けコンテンツなど100以上の多様なチャンネルを提供している。【写真: サムスン電子ホームページのキャプチャ】

◆Kコンテンツの輸出窓口としての期待

政府もFASTに注目している。Kコンテンツの拡散に有効なツールと見なすためだ。科学技術情報通信部は昨年、AIダビング特化のK-FAST拡散支援事業を推進した。この事業で6つのコンソーシアムがKコンテンツにAIダビングなどのローカライズ技術を適用した。1400時間超のAIダビングコンテンツと20のKチャンネルが構成され、該当コンテンツはSamsung TV PlusやLG Channelを通じ北米、中南米、欧州など20か国以上へ送出される予定だ。

これはFASTが単なる業界の新たな収益モデルに留まらないことを示す。Kコンテンツを海外視聴者に無料のチャンネル形式で露出できるためだ。現地語のダビングを組み合わせればアクセス性が高まり、海外利用者が別途購読料を払わずスマートTVでKコンテンツチャンネルに触れられる構造が生まれる。

これによりKコンテンツの輸出方法にも変化が起き得る。従来は版権販売やグローバルOTTの配信、YouTubeクリップの流通が主流だったが、FASTはチャンネル単位で継続的な露出を可能にする。中小制作会社にも新たな機会を提供する可能性がある。

広告市場にとってもFASTは重要だ。従来のテレビ広告は多数の視聴者に同時露出できる利点があるが、細かなターゲティングには限界があった。一方でFASTはインターネット基盤のサービスであり、スマートTVと連携した視聴データを基により精緻な広告商品を作れる。広告主は特定のジャンルや視聴行動に沿って広告を出せ、プラットフォームは広告効率を高められる。

だが課題もある。無料だからといって利用者が長時間留まるとは限らない。広告が多すぎたり同じ広告が繰り返されれば疲労感が増す。チャンネル構成が単調でコンテンツの質が低ければ、無料でも利用者はすぐに離脱する。結局、FASTの競争力は単に無料であることを超え、「どれだけ魅力的なチャンネルを作れるか」にかかっている。

AIの活用もさらに広がるとみられる。AIダビングは言語の壁を下げる。コンテンツ推薦AIは利用者の好みに合ったチャンネルを前面に配置できる。視聴状況に即した広告を提供する上でもAIの役割は重要だ。

最終的に、FASTは単なる「無料のテレビ」ではない。テレビ放送の古い文法であるチャンネルと編成をインターネット環境に移し、スマートTVプラットフォーム、広告技術、AIによるローカライズ技術を組み合わせたモデルへと進化している。サムスン電子やLG電子がFASTに注力する理由、政府がKコンテンツ拡散の手段としてFASTを位置づける理由はここにある。

放送とコンテンツ市場は常に技術の進化とともに動いてきた。地上波からケーブルへ、ケーブルからインターネット(IPTV)へ、そしてOTTへと視聴者の選択肢は広がり続ける。放送・コンテンツ市場は、どの画面でどのようにコンテンツを提示し、どのように収益化するかという競争へと拡張している。FASTはその次の局面になり得る。FASTは放送のチャンネル体験、OTTのインターネット技術、広告プラットフォームの収益モデル、AI基盤のローカライズ技術が融合する領域へと拡張している。

개발기획팀
editor@tenbizt.com

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