2026年の慶南道知事選で、選挙戦終盤の最大の悪材料かつ最大の変数として「AIディープフェイク映像」論争が浮上した。
単なるネガティブ合戦を超え、不法選挙運動や公職選挙法違反、公務員の政治介入、官権選挙の疑惑まで飛び出し、今回の事案は慶南選挙全体を揺るがす重大案件に急浮上している。
とくに、共に民主党・キム・ギョンス候補陣営と国民の力・パク・ワンス候補陣営、さらにチョ・グク革新党が相次いで声明を出して正面対立し、選挙終盤の世論の行方にも少なからぬ影響を与えると見られる。
– JTBC報道で始まった「AIディープフェイク」波紋
論争の発端はJTBCの報道だ。
報道によれば、パク・ワンス候補キャンプ関係者がキム・ギョンス候補を中傷する内容のAIディープフェイク映像を制作・流布したとの内部告発があったという。
さらに、慶南道庁の公務員が映像制作のための資料提供や修正作業に関与した疑いが出たことで波紋は拡大した。
AIディープフェイクは人工知能技術を使い、特定人物が実際には発していない言動をあたかも行ったかのように作り出す技術だ。
選挙過程で用いられれば、有権者に事実と異なる情報を伝えて判断を歪める可能性があるため、公職選挙法は選挙運動目的のディープフェイク映像の制作・流布を厳しく制限している。

キム・ギョンス陣営「民主主義を毀損する重大な犯罪疑惑」
キム・ギョンス候補陣営は緊急記者会見を開き、強い批判を展開した。
陣営は今回の件を単なる選挙戦の攻防ではなく、「民主主義と選挙の公正性を破壊する重大な犯罪疑惑」と断定した。
とくに現職公務員の関与疑惑を問題視した。
陣営は「公務員が特定候補のための選挙コンテンツ制作に関与したなら、それは憲法が保障する政治的中立義務の明白な違反であり、行政権力が選挙に介入する瞬間、民主主義は崩れる」と主張した。
続けて選管と警察による徹底調査と、パク・ワンス候補の辞退を求めた。

チョ・グク革新党「公職社会を動員した官権選挙の疑い」
チョ・グク革新党の慶南道党もただちに追随した。
シム・ギュタク前昌原市長候補は声明で「AIディープフェイクを用いた選挙工作疑惑は民主主義の根幹を揺るがす事件だ」とし、「公職組織を選挙組織として動員した官権選挙の典型だ」と批判した。
シム前候補は、もし公務員の関与が事実ならば単なる陣営レベルの問題にとどまらず、慶南道政全体の信頼性に直結する問題だと指摘した。
「道庁は道民のための行政機関であり、特定候補の選挙組織ではない。道民の税で運営される組織が特定候補の選挙に動員されれば、重大な民主主義の毀損だ」と強調した。

パク・ワンス陣営「ディープフェイク専門チームも、組織的介入もない」
パク・ワンス候補陣営は即座に反論に出た。
陣営は「ディープフェイク映像の制作指示や選挙への活用は一切ない」と疑惑を全面否認した。
また「ディープフェイク専任チームが存在するという主張も事実ではない」と明言した。
パク陣営は、今回の問題の核心は内部告発者の主張だけに依拠している点だと反論している。
とくに内部告発者A氏が過去のカカオトークで「キム・ギョンス陣営の補佐官と昼食の約束」などに言及していた事実を示し、情報提供の経緯とキム陣営との接触の有無を調べるべきだと主張した。
陣営は「選管はA氏の主張だけでなく、情報提供過程と背景、キム・ギョンス候補側との接触の有無も確認すべきだ」と求めている。
今回の事件の主要争点は、現在明らかになっている内容を総合すると大きく五つに分けられる。
▲第一に、AIディープフェイク映像が実際に制作・流布されたのか ▲第二に、該当映像の制作にパク・ワンス候補陣営が組織的に関与したのか ▲第三に、慶南道庁の公務員が資料提供や修正作業に関与したのか ▲第四に、公職選挙法違反が認められるか ▲第五に、内部告発者A氏の信憑性と情報提供の経緯はどうか、である。
現時点では各陣営の主張が鋭く対立しており、どちらか一方の主張だけで事実関係を断定するのは難しい。
選挙終盤の最大の変数…調査結果が情勢を左右する
政界では今回の事案が単なる選挙問題を超え、慶南道知事選全体の流れを変える変数になり得ると受け止められている。
もし不法なディープフェイク映像制作や公務員の関与が確認されれば、選挙法違反や官権選挙の論争に発展する可能性がある。
逆に、情報提供の信憑性に疑問がある、あるいは組織的介入が確認されない場合は逆風が吹く恐れもある。
結局、この論争の結論は選挙管理委員会と捜査機関の調査結果によって左右される見込みだ。
慶南の有権者が求めているのは政治的な応酬ではなく、事実関係の明確な解明である。
選挙終盤に浮上したAIディープフェイク論争は、候補者個人の問題にとどまらず、民主主義や選挙の公正性、公職社会の政治的中立性という根本的な問いを慶南の有権者に突きつけている。













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