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大西洋に面するイベリアの人々にとって、海は常に二面性を併せ持つ存在だった。荒れた波や岩礁は脅威である一方、新たな暮らしと食卓を切り開く舞台でもあった。EBS1の4部作『味で読むスペイン・ポルトガル』第3回は、過酷な自然を耐え抜いて手に入れた、刺激的な一口を追う旅である。

29日に放送される第3回『極限の一口を求めて』は、ユーラシア大陸最西端のホカ岬から始まる。ここで漁師たちは「悪魔の指」と呼ばれるカメノテを求め、波の叩きつける岩場へと向かう。カメノテは崖や岩礁にへばりついて育つ海産物で、潮の満ち引きや波、天候を正確に読み取らなければ採取できない。気の緩みが一瞬でも許されない大西洋の岩場で、漁師エルマンドとともに行う採取の過程は、一皿の料理がいかに過酷な自然の時間を経て届くのかを物語る。
旅の次の目的地は、ポルトガルの「パンのかご」と呼ばれるベジャだ。広大な小麦畑の中にそびえる巨大な風車は、この地域の象徴的な風景である。イスラム支配期に伝わった風車製作技術は、水の乏しく風の強いベジャの環境と結びつき、独自の形で根付いた。風車の番人フランシスコ爺は風向きを読み、船の帆を扱うように風車の羽を調整する。古い風車を今も動かすその手には、世代を超えて受け継がれてきた誇りと愛情が宿る。
ベジャでは伝統的な方法でパンを焼く職人にも出会う。機械も温度計も使わず、感覚と目分量だけで生地を練るイオネおばあさんは、焼きたてよりも6日経ったパンのほうが好きだと言う。その理由は、残ったパンを無駄にしないために生まれた料理アソルダにある。かつてオリーブ油さえ貴重だった時代、硬くなったパンをよみがえらせたこの料理は、貧しい人々の食卓を支えてきた一皿だった。魚のスープにパンを溶かして煮込むアソルダには、ベジャの人々が営んできた勤勉で堅実な時間がそのまま染み込んでいる。
『世界テーマ紀行』は第3回で、特別な味を単なる珍味として取り扱わない。波の中で命を懸けて掬い取られたカメノテ、風を読み小麦を挽いてきた風車、残ったパンの一切れまでを再び生かす庶民の料理──イベリアの食卓は、自然を征服した成果ではなく、自然と対峙し適応しながら生きてきた人々が残した記録のように迫ってくる。
荒々しい大西洋と風の吹く平原、そして古いパンの一皿に込められた暮らしをたどる『世界テーマ紀行』第3回『極限の一口を求めて』は29日午後8時40分に放送される。
※本稿は無償で執筆されたものである。













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